c)品質・性質

1)機械的特性

3100 引張強さ
tensile strength
 引張試験において、最大荷重を試験片の平行部の原断面積で除した値(JIS Z 2241)。
3101 耐力
yield strength : proof stress
 引張試験において、規定された永久伸びを生じるときの加重を試験片の平行部の原断面積で除した値(JIS Z 2241)。
参考 降伏点が明りょう(瞭)でない伸銅品では、降伏応力の代わりに耐力が用いられる。
 なお、伸銅品では、通常、オフセット法が用いられ、この場合、特に規定のない場合は、永久伸びの値を0.2%とする。
3102 伸び
elongation(after fracture)
 引張試験において、試験片が破断したとき、その標点間の長さLと元の標点距離L0との差。
参考1.JISでは、この差を標点距離に対する百分率で表す。

2.全伸びと破断伸びとがあり、伸銅品では破断伸びを用いる。
3103 断面絞り
reduction of area (after fracture)
 引張試験において、くびれ破断した箇所の断面積の原断面積に対する比率。
参考 延性を評価するのに用い、単に絞りともいう。
3130 ビッカース硬さ
vickers hardness
 対面角が136度のダイヤモンド四角すい圧子を用い、試験面にくぼみを付けたとき、用いた試験加重を永久くぼみの対角線長さから求めた永久くぼみの表面積(mm2)で除した値(JIS Z 2244)。
参考1.硬さ記号は、HVを用いる。
2.伸銅品では、主としてビッカース硬さを用いる(JIS Z 3300を除く)。
3131 ロックウェル硬さ
rockwell hardness
 ダイヤモンド圧子又は鋼球圧子を用いて、まず初荷重を加え、次に試験荷重を加え、再び初荷重に戻したとき、前後2回の初荷重における圧子進入深さの差hから硬さ(HR)の定義式HR=a−bhで算出される値。  ここに、a及びbは、ロックウェル硬さのスケールごとに定められた固有の値である(JIS Z 2245)。
参考1.JISでは、初荷重98.07Nのときロックウェル硬さ、29.42Nのときロックウェルスーパーフィシャル硬さという。
2.伸銅品のJISでは、JIS H 3300でスーパーフィシャル硬さが適用されている。
3132 ブリネル硬さ
brinell hardness
 鋼球圧子又は超硬合金圧子を用い、試験面にくぼみを付けたとき、用いた試験荷重を球状の永久くぼみの表面積(mm2)で除した値(JIS Z 2243)。
参考1.鋼球圧子を用いたときには、硬さ記号HBSを、また超硬合金球圧子のときには、HBWを用いる。
2.伸銅品のJISでは、JIS H 3250のアルミニウム青銅に適用されている。
3133 ショア硬さ
shore hardness
 試料の試験面上に一定の高さ(h0)から落下させたハンマのはね上がり高さ(h)で、次の式で算出される値(JIS Z 2246)。
参考1.kは、ショア硬さ基準片で決まる係数である。JIS Z 2246では、ショア硬さ基準片の基準硬さは、ビッカース硬さを基準に一定の換算式で求められている。
2.伸銅品では、簡便法として受入検査などで用いられる場合がある。
3170 ばね限界値
spring bending elastic limit
 材料に曲げる力を与えたとき、所定の永久たわみ(例えば0.075mm又は0.1mm)を生じたときの表面最大応力値。
参考 伸銅品のJISでは、JIS H 3130に、繰返したわみ試験とモーメント式試験の2通りの試験方法が規定されている。
3171 表面最大応力値
maximum outer fibre bending stress
 永久たわみを生じない最大応力を与えたとき、材料の最外表層に生じる応力値。
参考 伸銅品では、ばね性の強度的評価を見るのに用いられる。
3172 被削性
machinability
 切削加工の難易さ。
参考 切削加工の難易さは、定量的に表現しがたいので標準材料としてC 3600の被削性を100として比較している。
3173 異方性
anisotropy
 板及び条の機械的性質が面上の方向によって違う性質。
参考 異方性がある板及び条を深絞り加工すると口縁部にいくつかの耳状突起ができる。
3174 応力緩和
stress relaxation
 材料に一定のひずみを加えて放置したとき、初期応力が時間とともに減少してくる現象。
参考 減少した応力を緩和応力といい、これに対応するひずみを塑性ひずみという。